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yogiさんが2015年に読んだ本で面白かったもの一覧 [読書]

今年読んだ本は38冊。昨年も書きましたが、50冊は読みたいものです。目指せ週一ペース。

その中でyogiさんが自信を持っておすすめできる本は以下。

『平面いぬ。』
http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2015-01-02

平面いぬ。 (集英社文庫)

平面いぬ。 (集英社文庫)

  • 作者: 乙一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 文庫



『破獄』
http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2015-01-16

破獄 (新潮文庫)

破獄 (新潮文庫)

  • 作者: 吉村 昭
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1986/12/23
  • メディア: 文庫



『グロテスク』
http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2015-02-05

グロテスク〈上〉 (文春文庫)

グロテスク〈上〉 (文春文庫)

  • 作者: 桐野 夏生
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 文庫



グロテスク〈下〉 (文春文庫)

グロテスク〈下〉 (文春文庫)

  • 作者: 桐野 夏生
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 文庫



『ダイナー』
http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2015-03-11

ダイナー (ポプラ文庫)

ダイナー (ポプラ文庫)

  • 作者: 平山 夢明
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2012/10/05
  • メディア: 文庫



『インデックス』
http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2015-05-09

インデックス

インデックス

  • 作者: 誉田 哲也
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/11/14
  • メディア: 単行本



『綻びゆくアメリカ』
http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2015-10-07

綻(ほころ)びゆくアメリカ―歴史の転換点に生きる人々の物語

綻(ほころ)びゆくアメリカ―歴史の転換点に生きる人々の物語

  • 作者: ジョージ・パッカー
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2014/07/26
  • メディア: 単行本



『東京ダモイ』
http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2015-12-08

東京ダモイ (講談社文庫)

東京ダモイ (講談社文庫)

  • 作者: 鏑木 蓮
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/12
  • メディア: 文庫



『隠密 味見方同心』シリーズ
『(一)くじらの姿焼き騒動』
http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2015-05-29

隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動 (講談社文庫)

隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動 (講談社文庫)

  • 作者: 風野 真知雄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/02/13
  • メディア: 文庫



『(ニ)干し卵 不思議味』
http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2015-08-04-1

隠密 味見方同心(二) 干し卵不思議味 (講談社文庫)

隠密 味見方同心(二) 干し卵不思議味 (講談社文庫)

  • 作者: 風野 真知雄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/03/13
  • メディア: 文庫



『(三)幸せの小福餅』
http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2015-07-23

隠密 味見方同心(三) 幸せの小福餅 (講談社文庫)

隠密 味見方同心(三) 幸せの小福餅 (講談社文庫)

  • 作者: 風野 真知雄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/04/15
  • メディア: 文庫



『虐殺器官』
http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2015-06-09

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 伊藤 計劃
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/02/10
  • メディア: 文庫



『ハーモニー』
http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2015-06-30

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 伊藤計劃
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/08/08
  • メディア: 文庫



・もっとたくさん本を読みたい。速読術でも身に着けようか。
・自炊を始めたので、読み終わった本はスキャンしてハードディスクに保存するようになった。ものが増えないというのは、良いことだ。
・2015年、この一冊を選ぶとすれば、やはり『虐殺器官』かなぁ。この、『虐殺の言語』がじわり浸透しつつあるような、世の中だし。
理解が難しい本、読んでもよくわからない本って、読む価値、必要があるのだろうかと自問することがよくあった。P・K・ディックとか、神林長平とか。まぁいわゆるハードSF系のことなんだけど。でも神林長平氏の『いま集合的無意識を、』を読んでないと『虐殺器官』を知ることがなかったという事実を考えると、世の中に無駄な情報など、なにもないのだ、という気もしてくる。
・今年は伊藤計劃と『隠密味見方同心』シリーズを発見したという意味で、例年通り意義深い読書生活を送ることができました。
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『東京ダモイ』を読んだ [読書]

・鏑木蓮著。
・第52回江戸川乱歩賞受賞作。
・舞鶴で発生した殺人事件。戦中のものらしき遺留品。真実はかつてのシベリア抑留の悲惨な記憶とともに明らかになる。。。

・シベリア抑留モノだ。
・主人公、槙野君は自費出版本の編集者だ。『夢を売る男』に続いて主人公がまた自費出版社員だ。

・本筋は舞鶴の殺人事件になんとなく巻き込まれたへっぽこ編集者(途中から有能になる)槙野君の推理事件簿。彼に出版を依頼してきた人が書いたシベリア抑留記/句集が挿入される。

犯人に動かぬ証拠を突きつけるシーンが熱い!!燃える展開!!土曜ワイド劇場だったら10時38分頃のシーンだ。布石の回収にもなっている。よくシナリオが練られている印象。

・俳句の同好会が作られるのは『ラーゲリから来た遺書』と同じだ。
・シベリア抑留事件の際に使用された凶器についてはちょっと疑問が残る。ホントにその凶器で斬首できるのか?

・シベリア抑留という歴史的重大事件をを推理小説という形で提示した作者は実に意欲的。おもしろかった。

・ミステリー小説はチェスみたいなもので、序盤にいろんな駒がテーブルに置かれ、それらが動かされ、事件が起こり、最終的に解決したりしなかったりする。でも新人賞作品って、思わせぶりに盤上に置かれた割には最後まで全く動かなかったなぁ、という駒がある。本作であれば主人公の妹がその典型だ。



東京ダモイ (講談社文庫)

東京ダモイ (講談社文庫)

  • 作者: 鏑木 蓮
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/12
  • メディア: 文庫



東京ダモイ (講談社文庫)

東京ダモイ (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/12
  • メディア: Kindle版



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『ニュータウンは黄昏て』を読んだ [読書]

・垣谷美雨著。

・東京都下のニュータウンに両親と住む琴里。友人の紹介で大金持ちの二代目を紹介され、トントン拍子で交際がスタート。このまま玉の輿に乗っていいの?紹介してくれたミキコは南アフリカに行ったというけれど。。。
『郊外型ニュータウン』が舞台だ。バブルを経て、老朽化が進み、建て替え議論が出てくるけど賛成派と反対派で議論は平行線。住人も高齢化が進み、管理組合はさながら老人会だ。それでも話し合い、結論を出さなければならない。

・主人公琴里を通した就職氷河期世代の現実、母頼子を通した東京の住宅事情とマンション建て替え問題、琴里とその友人の、結婚観、恋愛観を描く。とてもおもしろい。一気に読める。

・『安いから』『オシャレだから』『みんな買ってるから』だけで終の棲家を決めると結構大変だよ、というお話。
・かといってyogiさんみたいにタイミングを逃し続けていつまでも賃貸に住んでいるのもどうかとも思うんだけど。でも今の住まいが気に入ってるからなぁ。腰が重いぜ。

・住宅選びは失敗が許されない大事業なのだ。

・文庫版を読んだんだけど、文庫版後書きがとてもおもしろかった。この人エッセイストとしても一流。

・女性が女性を描いているから飾らず貶さず、等身大を描けているように感じました。


ニュータウンは黄昏れて (新潮文庫)

ニュータウンは黄昏れて (新潮文庫)

  • 作者: 垣谷 美雨
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/06/26
  • メディア: 文庫



ニュータウンは黄昏れて

ニュータウンは黄昏れて

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/01/22
  • メディア: Kindle版


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『道徳の時間』を読んだ [読書]

・呉勝浩著。
・第61回江戸川乱歩賞受賞作。

・近畿のベッドタウンで教育者が公演中に刺殺された。容疑者とされた男は完全黙秘を貫き無期懲役に。ただ一言『これは道徳の問題なのです』という言葉を残して。それから13年後、同じ町で陶芸家が謎の死を遂げる。襖には『道徳の時間をはじめます。犯人は誰?』と大書されていた。。。

・主人公の伏見は13年前の事件の真相を追うドキュメンタリー映画のカメラマン。演出とやらせ、取材と捜査の違いの曖昧さが描かれている。どんな映像にも必ず恣意的な部分はあるものだと思って接しなければならない。

・13年前の事件と現在が絡まるようで絡まない。えええ。。。
・無期懲役に処せられた受刑者、13年で出所できるかなぁ。
・県名まで匿名というのは、少しリアリティを失わせるかなぁ、と思った。

・2つの殺人事件の周辺で発生するさざ波のような小さな事件。いっそ13年前の事件はすべて切り離して、『小さな町で起きた不気味な事件』を描いたほうが良かったのでは。
・『大幅に書きなおすこと』を条件に受賞したそうだけど、そこまでして受賞させる必要ないんじゃない?出版不況だから『該当作なし』は困るのかな。

・伏見が東京から帰ってくることになったきっかけになった『失敗』、もう少し掘り進めても良かったのでは。

・文章は読みやすいのだが、むう。

道徳の時間

道徳の時間

  • 作者: 呉 勝浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/08/05
  • メディア: 単行本



道徳の時間

道徳の時間

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/08/04
  • メディア: Kindle版



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『23分間の奇跡』を読んだ [読書]

・ジェームズ・クラベル著。青島幸男訳。青島だぁ
・占領された国の学校に一人の教師がやってくる。彼女はほんの23分間で生徒から不信感を取り除き、国旗を放棄させる。。。
すぐ読める。多分23分かからない
・見開きのうち片方のページにしか文字がないから。ページの嵩増しが甚だしい
・『世にも奇妙な物語』でもおなじみ。
・テクニックがあれば特定の思想を放棄させたり、信じさせたりすることができるかもね、というストーリー。子供も大人も気を付けましょう、という。
・そもそも教育というものが、例えば日本では『科学思想』に小中高校を通して『洗脳』するものであると言えなくもないので、この本を単純に『洗脳の恐怖だ!!』とか考えないほうがいいと思いました。


23分間の奇跡 (集英社文庫)

23分間の奇跡 (集英社文庫)

  • 作者: ジェームズ・クラベル
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1988/07/20
  • メディア: 文庫



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『スナイパー・エリート』を読んだ [読書]

・スコット・マキューエン/ トマス・コールネー著 公手成幸訳
・アフガニスタンで演習中の部隊が襲撃され、女性パイロット、サンドラが拉致された。彼女は暴行を受け、米国はそのビデオとともに身代金の要求を受ける。その頃特殊部隊DEVGRUのギル・シャノンはイラン国境地帯で麻薬密売組織の殲滅作戦を行っていた。。。
・映画『アメリカン・スナイパー』著者が贈るスナイパー小説だ。これはフィクション。多分。

・yogiさん常々戦争作品(映画や小説など)に於ける最強兵士はスナイパーだと思っているんだけど、本作も『スナイパー最強説』に基づいたものだ。超長距離射撃から近接戦闘までできるとなったら、完璧超人ですよ。

・翻訳モノって、途中まではすごく読みづらいんだけど、半分を過ぎたあたりから急にスイスイ読めるようになる。yogiさんが翻訳作品特有の文章になれるからなのか、訳者の筆が乗ってくるからなのか。謎なんだけど、大抵の作品は半分を過ぎたあたりから急に読みやすくなる。代わりに前半はもう苦行に近い。
今回は270ページあたりから読みやすくなった

・作中は暴行、虐待、拷問と、ひどい描写が多い。戦争小説なので勿論バンバン人が死ぬ。気になる方にはおすすめしません。
・戦闘シーン、軍内部、合衆国政府内部の権力争いなどが(本当かどうかは別として)非常に真に迫っていて面白かった。
DEVGRU(Development Group)という聞き慣れない部隊が舞台となっている(駄洒落)。これら部隊について解説しているので、『訳者あとがき』を先に読んでおくといいかもしれない。



スナイパー・エリート (ハヤカワ文庫NV)

スナイパー・エリート (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: スコット・マキューエン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/05/22
  • メディア: 文庫



スナイパー・エリート (ハヤカワ文庫NV)

スナイパー・エリート (ハヤカワ文庫NV)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/05/25
  • メディア: Kindle版



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『綻びゆくアメリカ』を読んだ [読書]

・ジョージ・パッカー著、須川 綾子訳。
・アメリカ合衆国の半世紀に亘る変容を様々な『市井の人々』を通して描き出す、試み。
・主な登場人物は、ロビイスト、バイオエネルギー会社社長、コミュニティ・オーガナイザー、ベンチャーキャピタリスト、政治家、ラッパー、オプラ・ウィンフリー、そしてタンパに住む人々。
・1985年頃、彼らはこうしていた、2008年の彼らはこうだった、という形で、年代と人物が交差する点を描いている。
・製造業が海外に工場を移転して空洞化する町、オバマ大統領誕生に湧く人々、空前の不動産ブームとサブプライムショック(すべての登場人物が何らかの影響を受けている)。。。『へぇ、あの時アメリカはこんな感じだったのか』と感じることができる。
・いわば『BS世界のドキュメンタリー』を『読んで』いる感じ。
・別々の場所で全く違う仕事をしていた人々が、一瞬すれ違ったりする。
・長大な物語だ。読み終わるのに2ヶ月近くかかった。かなり分厚いので、Kindle版がおすすめ。
・かなり面白い、でも長い。それこそ『BS世界のドキュメンタリー』あたりでやんないかなぁ。
・世代を重ねるにつれ、格差は拡大し、固定されてゆく様子が著されていて、いずれ日本も、、、などと考えてしまう。お金持ちはよりお金持ちになり、貧しい人間はもろもろ喪ってゆく過程で立ち直る手段をも奪われる。政治も法も、お金持ちの味方をする。生き延びるには、がんばってお金持ちになるしかない。手段は問わない。お金持ちになってしまえば、その過程はすべて正当化されるし、不正を行っても、握りつぶせるだけのお金があれば問題ないから:P。


綻(ほころ)びゆくアメリカ―歴史の転換点に生きる人々の物語

綻(ほころ)びゆくアメリカ―歴史の転換点に生きる人々の物語

  • 作者: ジョージ・パッカー
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2014/07/26
  • メディア: 単行本



綻(ほころ)びゆくアメリカ

綻(ほころ)びゆくアメリカ

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2014/07/30
  • メディア: Kindle版


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『夢を売る男』を読んだ [読書]

・百田尚樹著。
・文芸出版の丸栄社の主力商品は著者と費用を折半して出版する『ジョイント・プレス・システム』。実際には著者に過分に支払わせ、著者の支払いのみで利益を上げている。編集部長の牛河原は今日も未来の大作家様を目指す、夢見る人々を口車に乗せ、出版費用を捻出させる。。。
・『本を売る』のではなく、『本を売りたい』という人の夢を叶える仕事
・『現代では夢を見るには金がいるんだ。海外旅行に行くのも金がいる。いい服を着るのも金がいる。うまいものを食うのも金がいるんだ。金のかからない夢は、布団の中でしか見られないんだよ(302ページ)』
・文学青年、自分はビッグになるんだと根拠の無い自信を持っている男、教育ママ、、、様々な人が様々な理由で本を出そうとする。
・部下の荒木君とよく話をしているんだけど、この荒木君、星新一の小説の登場人物のようだった。エス氏みたい。合いの手兼状況説明係。『○○といえば△□賞を獲った大作家じゃないですか』『ええ、そんなことしたら××が○○になってしまうじゃないですか』『そこまで考えてらっしゃるとは、さすが部長です』みたいな感じ。

・ラストシーンはどうだろう。むぅ。

・作中で『頻繁に更新してるブロガーにも声をかけろ、あいつらは自分の文章を認めて欲しくて仕方ないんだ』とか書いてあったから、yogiさんも声をかけられても騙されないように気を付けなきゃ。


夢を売る男 (幻冬舎文庫)

夢を売る男 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 百田 尚樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2015/04/03
  • メディア: 文庫



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『東京零年』を読んだ [読書]

・赤川次郎著。
微妙に未来設定(自動運転自動車とか)ながらも、ほぼ現在の日本。総理大臣の意向を受けた一人の検事によって警察・監視機能が強化・推進され、犯罪者の激減した安全な暮らしが守られていた。しかしその実態は政府への反対意見は巧妙に封殺され、警察の横暴が黙認され、『上流階級』の犯罪を隠蔽するためには容疑者を捏造することも厭わない、歪な社会だった。そんな警察の捏造捜査の被害者である永沢が、ある日テレビを観ていたところ、発作を起こしてしまうほどのショックを受けた。その映像には、死んだ筈の男、湯浅が映っていたからだった。警察、検察、雑誌記者、様々な思惑を持って湯浅の行方を追う。。。

・赤川次郎の『新刊』、読むの久し振りだ。相変わらず読みやすい。

・あらすじに書いたような警察監視社会(最初の変換候補が"警察官試写会"でちょっと和んだ)が『既にあるもの』として描かれていて、発生した過程、前日譚のようなものがないので、今ひとつストーリーに納得がいかなかった。『で、この窮屈な社会はどうやってできたの?永沢の過去とともに語られるのか?それとも生田目のキャリアアップの過程か?』と思いながら読み進めたんだけど、語られず終い。

・yogiさんは『自動車が警察に監視カメラで追跡される?携帯のGPSで位置が把握される?携帯電話も好きな時に傍受される?別にいいじゃない、それに見合うメリットがあれば』派なのですが、こういうことを言うと『危機感が足りない!!』とか言われてしまいそう。確かに冤罪は怖いですよね。

・でもyogi さん、自分の位置情報(ロケーション履歴)も、興味・関心(検索履歴)も、メール(Gmail)も、お仕事のスケジュール(カレンダー)も、撮影画像(Photoバックアップ)も、このblogのパスワード(Chrome)も、Googleに明け渡しちゃってるんだよなぁ。だから『今更個人情報を守ろうとしても無駄』と思っている。

・強力な警察機構のはずなのに『インターネットに情報が流れてしまうともう止めようがない』という設定は、ちょっとどうかと思う。どうにかできると思うよ。

・赤川次郎のディストピア小説といえば『プロメテウスの乙女』を思い出す。

・188~189ページの湯浅の行動と283ページの発言が矛盾しているんだけど、これはどういうことなんだろう。283ページの発言が嘘だったということか。そうなるとその後が微妙に矛盾する気もするんだよなぁ。

・途中から空気化するキャラクターが多い。ここらへんはキャラクター使い捨ての赤川次郎らしい。

・『監視社会』は『政府』や『権力者』みたいな方々ではなく、『こういうことができる、じゃあやってみよう』といって進めてしまう技術者と、それで利益をあげようとする企業がいつか作る、あるいは既に構築してしまっていると思います。

・いつかGoogleに危機感を覚えた市民がデモを行う世の中になり、Google本社前でシュプレヒコールを行っていると、その様子が監視カメラで撮影され、顔認証が行われて個人が特定され、リーダーはGoogleのブラックリストに載り、『身に覚えのない』犯罪者、変質者として名前や顔が『検索結果』のトップに掲載され、社会的に抹殺されてゆく。。。というストーリーを思いついた。こっちのほうが現実的。怖い世の中ですね。現実に発生しているかもしれませんね。


東京零年

東京零年

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2015/08/05
  • メディア: 単行本



東京零年 (集英社文芸単行本)

東京零年 (集英社文芸単行本)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2015/08/10
  • メディア: Kindle版



『隠密味見方同心(二) 干し卵 不思議味』を読んだ [読書]

・風野真知雄著
・味見方同心シリーズ第二弾。
・前作で非業の死を遂げた波之進に代わって、二代目味見方となった、弟魚之進。果たして何をするにも波之進より劣っている(と思っている)魚之進は無事お務めを果たせるのか!?
・『美味の傍には悪がいる』『甘味の影に悪事あり』でお馴染み、超ウルトラスーパー大人気『味見方同心』シリーズ第二弾!!
・時代物 → 好き、ミステリー → 好き、料理 → 好き、と来たら、面白くないはずがないのです。

『ふんどし豆腐』
・兄を失った月浦家。それでもお務めは果たさねばならず、魚之進は奉行所へ出向く。待っていたかのように殺人事件が発生し、現場へ向かうとそこには血染めの凍み豆腐が。。。
・凶器の凍み豆腐を絞って血を抜いて食べちゃう魚之進。『喰いタン』のよう。

『天狗ちくわ』
・通常一つ穴のちくわを二つにし、天狗の鼻をかたどった『天狗ちくわ』の店主が殺された。『あの野郎、俺の天狗ちくわを悪事に使いやがって、、、』という言葉を遺して。。。
・ダイイングメッセージものだ。
・とっくりのトリック(駄洒落のつもり)、かなり無理がある。ちょっと納得できませんなぁ。


『干し卵』
・やくざの銭政一家が丑右衛門一家に殴りこみをかけるらしいという話で町方は大騒ぎ。魚之進も見張りにつくが、銭政の家の軒下に、卵が干し柿のように干されている。食べ物の謎は味見方の仕事、魚之進は干し卵の謎を探り、江戸を駆けまわる。。。
・魚之進、初めての切り結び。なんとかなったけど、てんでダメ。やはり兄さんは偉大だった。
・いい話だ。この話が一番好きだなぁ。お江戸人情話、yogiさん嫌いじゃないぜ。

『うどんの天ぷら』
・にゃんこの麻次が馴染みの天ぷら屋の暖簾をくぐると、いつもいる女将がいない。旦那に話を聞くと、突然いなくなってしまったのだという。天ぷら油の火が点けっぱなしだったことから連れ去られたんじゃないかという旦那。ちょうど町の天ぷら屋を調べていた魚之進、麻次とともに女将さんの行方を探る。。。
・天ぷらうどんではない、うどんの、天ぷら。
・うどんの天ぷら、これはおいしそう!!今度作ってみよう。
・北谷道海入道現る。三巻でも出てくる。波之進殺人事件のキーパーソンになってゆくのでしょう。

全体に人情話っぽい。大江戸ミステリー感が弱い。
・味見方同心の概要を考えて、完璧超人の兄を主人公に据えたんだけど、完璧超人だからすぐ謎を解いちゃって、ストーリーに広がりがないから出来の悪い弟に変えて右往左往させているのが本作。三巻ではミステリー寄りが強くなって、魚之進さん、江戸の喰いタンのようになります。


隠密 味見方同心(二) 干し卵不思議味 (講談社文庫)

隠密 味見方同心(二) 干し卵不思議味 (講談社文庫)

  • 作者: 風野 真知雄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/03/13
  • メディア: 平装-文库



隠密 味見方同心(二) 干し卵不思議味 (講談社文庫)

隠密 味見方同心(二) 干し卵不思議味 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/03/13
  • メディア: Kindle版



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『すきやばし次郎 鮨を語る』を読んだ [読書]

・宇佐美伸著。
・寿司の名店、すきやばし次郎の店主、小野二郎氏の半生と『寿司論』を氏自身が語ります。

・長年に亘るインタビューを書き起こしたものだ。力作。
・小学生の頃から料理旅館に丁稚に出され、高学年の頃には既に一人で出張料理に行っていたという。小野氏、リアルミスター味っ子
・『軍需工場の苦労なんて、旅館の丁稚奉公に比べれば大したことないよ』、『兵隊の苦労なんて、旅館の丁稚奉公に比べれば大したことないよ』『寿司屋の修行なんて旅館の丁稚奉公に比べれば大したことないよ』『独立した時の苦労なんて旅館の丁稚奉公に比べれば大したことないよ』。どんだけ旅館の丁稚奉公って大変だったんだろう。
・yogiさんも『こんな状況、前の会社に比べれば大したことないよ』『こんな無理難題、前の会社に比べれば大したことないよ』、ということになるのかなぁ。
・序章の、著者が次郎の寿司を食べる表現が、おいしそうでおいしそうでもう、すごく行きたくなった。でも、『すきやばし次郎』は、yogiさんには敷居が高い。この名店は、『遠きにありて、思うもの』のように思う。


すきやばし次郎 鮨を語る (文春新書)

すきやばし次郎 鮨を語る (文春新書)

  • 作者: 宇佐美 伸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/10
  • メディア: 平装-新书



『隠密 味見方同心(三) 幸せの小福餅』を読んだ [読書]

・風野真知雄著。『味見方同心』シリーズ第三弾。

・魚之進の推理が本作も冴える!江戸のシャーロック・ホームズだ!
・本作も、美食の影に、甘味の裏に、悪事ありです。
・一作目から出てくる味見師の文吉が準レギュラー化。味見師、今で言うグルメライターみたいな人。

『たぬき寿司』
・稲荷寿司の調査をしていた魚之進。そこで見かけたのは『たぬき寿司』。丸く握った酢飯にかつぶしをまぶった姿はまさしくたぬき。しかし殺人事件の現場付近で必ずたぬき寿司屋が目撃される。。。

『小福餅』
・お静が買ってきたのは小さな福がたくさんくるようにと作られた、小さい大福、小福餅。お静の友人が営んでいるという小福餅屋だったが、ある日師匠が店先で死亡していた。。。
・大福、おいしいよね。甘いのが苦手な人向けに、『塩大福』というのもあります。

『冷やし沢庵』
・波之進が食べた『この世のものとは思えないごちそう』を求める魚之進。ご飯と汁物、漬物だけで1朱(約5,000円)も取る飯屋に行ってみると、そこには。。。

『おでんのおでん』
・"でん"という名の女性が営んでいるおでん屋なので、『おでんのおでん』。繁盛していたがある日突然閉店してしまった。奉行所に隣人から捜索願が出たので調べ始めた魚之進と麻次。。。

・図書館で借りているので、二巻より先に三巻が届いてしまった。こういうこと、ままあります。
・まだまだ続く。4巻で魚之進は結婚できるかな?波之進の未亡人お静さんは実家に帰ってしまうのか?いろいろ楽しみです。
・短編で事件を解決しつつ、芯となる波之進殺しの真相に迫る、、、という『名探偵コナン』システム。うまく機能している。


隠密 味見方同心(三) 幸せの小福餅 (講談社文庫)

隠密 味見方同心(三) 幸せの小福餅 (講談社文庫)

  • 作者: 風野 真知雄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/04/15
  • メディア: 文庫



隠密 味見方同心(三) 幸せの小福餅 (講談社文庫)

隠密 味見方同心(三) 幸せの小福餅 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/04/15
  • メディア: Kindle版



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『パーク・ライフ』を読んだ [読書]

・吉田修一著。
・表題作含む2編

『パーク・ライフ』
・第127回芥川賞受賞作。
・地下鉄で間違って声をかけた人と偶然日比谷公園で再会した。僕は互いに出て行ってしまった知人夫婦の家で、猿のラガーフェルドを世話する名目で暮らし、実際の自宅は上京している母が泊まっている。なんでもないことを彼女と話し、眠れない日は夜の散歩をし、僕は毎日を過ごしている。
・何も起きない。描写が丁寧で、共感できるところもあり、文章が上手だなぁ、さすが芥川賞受賞作は違うなぁ、と思うんだけど、何も起きない。映画『マザーウォーター』くらい、なにも起きない。誰も声を荒らげることもないし、死んだり、殺したりすることもない。
・登場人物全員、互いの距離感を測りかねていて、不器用に暮らしてる、そんな人々の作品。
・面白かったけど、ちょっと短過ぎやしませんかね。

『flowers』
・九州から、妻にせがまれ上京し、清涼飲料水の自販機補充作業員として暮らす僕。妻は劇団に入ってよくわからないながらも充実しているらしい。仕事を教えてくれる先輩の家に行くとそこには床の間といけ花。僕も九州にいた事祖母の見よう見まねでいけ花をやっていた。ある日先輩の家に行くと、別の同僚の奥さんがいて。。。
吉田修一作品は『パレード』でも思ったんだけど、暴力が突然始まる。斜め後ろから突然襲い掛かられるよう。なんの準備もさせずに読まされるから、『ヒエッ』となって、本を手放してしまいそうになる。
・こんな感想を書くと、この突然さ加減がいくらか和らいでしまう気もする。申し訳ありません。

二編とも面白かった。


パーク・ライフ (文春文庫)

パーク・ライフ (文春文庫)

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 文庫



パーク・ライフ (文春文庫)

パーク・ライフ (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/10/10
  • メディア: Kindle版



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『シャッターマウンテン』を読んだ [読書]

・北林一光著。
・土砂崩れによって唯一の山道が閉ざされてしまった山。下山できなくなった山のホテル、キャンプ場、山小屋で事故が相次ぐ。そして相次ぐ動物の大群の目撃情報と目のない少女。果たしてこの山はどうなってしまったのか。。。
・山岳ホラー小説だ。
・yogiさんは小説であっても、『科学的な原因』を求めてしまう。『自殺者が続出 → 南米の未知の寄生虫でしたー(天使の囀り)』とか、『河童がでたぞー → カミツキガメでしたー(KAPPA)』とか。でも本作にそういう科学的な解はない。『寝ているはずの女性が湖畔にいたぞ→ 生霊でしたー』『不幸な亡くなり方をした少女の呪いだー → 不幸な亡くなり方をした少女の呪いでしたー』だもの。

・準主役級の登場人物も容赦なく命を落とす。最終的に50人近くが亡くなる大惨事になる。

・山には危険がいっぱいだね、お墓はちゃんと建てないといけないね、というお話でした。


シャッター・マウンテン (角川文庫)

シャッター・マウンテン (角川文庫)

  • 作者: 北林 一光
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/02/25
  • メディア: 文庫



シャッター・マウンテン (角川文庫)

シャッター・マウンテン (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2015/02/25
  • メディア: Kindle版



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『歌舞伎町ダムド』を読んだ [読書]

・誉田哲也著。『歌舞伎町セブン』の続編。シリーズ第二弾だ。

・新宿の飲食店で立てこもり事件が発生した。犯人は交渉役として新宿署の東刑事を指名してきた。犯人はあっさり投降し、取り調べを受け、送検された後、自殺した。不可解な自殺。東刑事は事件の謎を追うが今度は自らが様々な人間から狙われるようになってしまう。。。
・『新世界秩序』による『歌舞伎町封鎖事件』から7年。新宿には謎の暗殺集団『歌舞伎町セブン』の影が。それとは別に現れた新たなる暗殺者『ダムド』。そのターゲットは新宿署の東刑事。。。

『ジウ』シリーズ及び『ハング』の正統続編。東刑事も、門倉美咲も、伊崎基子も出てくる。
・そういう意味で、シリーズを読んでいるのといないのとでは、大違い。yogiさんは、読んでません。テレビドラマを観ていたのでなんとなくついていけたけど。本作を読むためには、『ジウ』についての知識を入れておいた方がいいと思う。

ジウ(WIKIPEDIA)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A6_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC)

・本作とは関係ないんだけど、以前『ハング』の感想文に『日本にこんな"巨悪"なんているのかね』と書いたけど、おそらく『新世界秩序』が『巨悪』なんだろうな。誉田ワールドでは。

・新宿って、こんなに怖い街だったのか。yogiさんよく無傷でいられたなぁ。ちょうど表紙の歩道橋の近くのビルで働いていたのだ。

・後半の東刑事ターゲットパートは、『最強伝説黒沢』の『黒沢狩り』のようだ。素人からプロまで有象無象が一人の刑事を付け狙う。

・姫川玲子シリーズの國奥先生も名前だけ出てくる。確か『ハング』でも名前をボカした感じで姫川玲子が出ていたので、ひょっとしたら姫川玲子シリーズも合流するかも、というか誉田哲也作品の現役キャラクターをこのシリーズにすべて集めるつもりなのかもしれない。『マーベル・アベンジャーズ』みたいな。

・続編が楽しみです。


歌舞伎町ダムド

歌舞伎町ダムド

  • 作者: 誉田 哲也
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/09/24
  • メディア: 単行本



『ジウ』で検索すると、チェ・ジウさんばっかり出てくる。


ジウ 警視庁特殊犯捜査係 DVD BOX

ジウ 警視庁特殊犯捜査係 DVD BOX

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2012/01/05
  • メディア: DVD



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