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『ハーモニー』を読んだ [読書]

・伊藤計劃著。

・2010年代に発生した『大災厄(ザ・メイルストロム)』。内戦と混乱により核兵器が拡散、各地で使用され、人類は存亡の危機に立たされた。人類は自らを『社会資源』と定義し、放射能汚染による健康被害を治療し、予防するために体内に"WatchMe"という健康監視装置を埋め込み、病気の予防と健康の維持を"生府(ヴァイガメント)"に依存することを決定した。ここに事故と老衰以外に死ぬことのない、『寿命がくるまで死なない』世界が誕生した。そんな世界で暮らすミアハとトアン、そして私キアン。中学生の時に命を社会資源と考える世界に反発し、3人で集団自殺をしようと企てたけど、成功したのはミアハだけだった。15年後、私はWHOの監察官としてWatchMeの監視外で『不健康なこと』を楽しむ日々。そして久しぶりに帰国した日本でトアンと会った日、世界が変わる大事件が発生した。社会の根幹を揺るがす事件にキアンは15年前に死んだはずのミアハの影を見る。。。

『虐殺器官』から40数年後の世界だ。『虐殺の言語』による世界の混乱は『ザ・メイルストロム』として既に歴史の一部になっている。
・世界が核の炎に包まれた後の世界は、トゲトゲの肩パットとモヒカンではなく、一人でも多くの人を救い、長く生きようとする、『やさしい世界』だった。体に良い物を摂り、病気は徴候のうちに体から駆逐され、人々は互いに空気を読んで穏やかに接し合う。それが死ぬまで続く。
・この世界、スポーツとかって成立しているんだろうか。
・戦闘シーンはほとんどない。今回はキアンが主人公となって大事件の謎を追い、それに伴って大いなる世界の変動を目の当たりにするという仕掛け。
ハードボイルド小説だ。
・人名が、たった数十年後にしてはへんてこなのは、パラレルワールドとして扱ってくださいという作者からのメッセージなのだろうか。それほどこの作品の世界観はグロテスクだ。
・この作品を書いている時、作者は病床にあった。それを頭に入れて読むと、病気のない世界に対する憧憬と拒絶が感じられて興味深い。


ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 伊藤 計劃
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/12/08
  • メディア: 文庫



ハーモニー ハヤカワ文庫JA

ハーモニー ハヤカワ文庫JA

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/12/08
  • メディア: Kindle版



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『不透明な時代を見抜く「統計思考力」』を読んだ [読書]

・神永正博著。
・『小泉改革は格差を拡大したのか?』『体重が多い人の方が長生きする?』など、世にある言説をさまざまなデータを『読む』ことで考え直す本。
・統計学とは言っても、ほとんど平易な言葉で書かれているので読みづらさはない。むしろ一気に読める。
・寧ろ平易に書き過ぎているくらいで、少々物足りなさを感じるかもしれない。

データの抽出条件を確認する
相関関係と因果関係を同一視してはいけない。 →『火災現場に出動する消防士が多いほど、火災の規模は大きい(相関関係)。したがって、出動する消防士が多くなることが、火災が大きくなる原因だ(因果関係の誤謬)』(wikipedia/相関関係と因果関係)

・普段データ作成を依頼されることが多いのですが、『これはこういう条件で抽出しているのですよ』という前提を知らせることが大事だなぁ、と思いました。


不透明な時代を見抜く「統計思考力」 (日経ビジネス人文庫)

不透明な時代を見抜く「統計思考力」 (日経ビジネス人文庫)

  • 作者: 神永 正博
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2013/11/02
  • メディア: 文庫



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『虐殺器官』を読んだ [読書]

・伊藤計劃著。
・先日読んだ『いま集合的無意識を、』の本文及び解説で触れられていた、34歳にして亡くなったSF作家、伊藤計劃氏の本。

・近未来(おそらく2010年代後半)、世界は内戦による混乱とテロの恐怖に怯えていた。米国情報軍は各国で頻発している内戦と暴乱の影に必ずある男が存在していることを突き止め、彼を捕縛するためクラヴィス・シェパード大尉をリーダーとするi分遣隊を送り込んだ。『ジョン・ポール』なる人物を逮捕・抹殺しようとするi分遣隊。チェコ、インド、そしてアフリカ・ヴィクトリア湖でシェパード大尉が目にし、理解したものは。そしてすべてを知った彼が起こした行動は。。。

2で始まる10年間で最高のSF作品との呼び声高い、らしい。確かにここ数年で読んだSF作品の中でも屈指の出来だ。知らなかった。こんな素晴らしい作品と、それを書く作家がいたなんて。yogiさん彼の名前すら知らなかった。世界は広く、本は多い
・絶妙にリアリティのある武装、世界観。『今は無理だろうけど、数年、十数年後にはこうなってるんだろうなぁ』という。

・人類が守るべきものはなんなのか、自由、平和、良心。そのすべてを希求した結果が絶望の世界だとしたら。
・ターゲットのジョン・ポール、『暗殺者の惑星』のコンラッド・ブラントっぽい。『一人殺せば犯罪者だが、百万人殺すものは英雄となり、一人残らず殺すものは神となる』の名言でおなじみ。

・トム・クルーズに映画化して欲しい。シェパード大尉じゃなくって、ジョン・ポールとして。
・本編はエピローグに向けた壮大な前振りな気がしていてならない。

・どうやらこれの続編が『ハーモニー』だそうなので、早速読もうと思います。


虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 伊藤 計劃
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/02/10
  • メディア: 文庫



虐殺器官 ハヤカワ文庫JA

虐殺器官 ハヤカワ文庫JA

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/02/10
  • メディア: Kindle版



暗殺者の惑星 (新潮文庫)

暗殺者の惑星 (新潮文庫)

  • 作者: マイク・レズニック
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1985/04
  • メディア: 文庫



いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)

いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 神林 長平
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/03/09
  • メディア: 文庫



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『いま集合的無意識を、』を読んだ [読書]

・神林長平著。表題作含む6編。
・神林長平を含め、ハードSFってもう概念論というか、哲学の世界になっていて、ときどきついていけない。でもまぁ、ついていく必要もないと思って、わからなくても一応通読して、わかるところだけを拾って、なんとか理解しようと努めている。

『ぼくの、マシン』
・『戦闘妖精・雪風』のスピンオフ。フォス大尉との会話による、深井零の少年時代の思い出。
・深井少年、子供の頃からひとりぼっちだ。
・『雪風』読者の方は必読。

『切り落とし』
・仮想現実世界がもう一つの現実世界として存在している未来、仮想現実世界でのストーカー被害に悩む女性が探偵に犯人探しを依頼するが。。。
・普通の小説だ。難なく読める。

『ウィスカー』
・僕は学校でちょっと仲間外れにされ始め、シングルマザーの母には新しい彼氏ができたみたい。そんなある日僕は奇妙なものを見つけた。『ウィスカー』と名づけたんだけど、僕はこれが猫だと思うんだ。
・覚えてますか。少年時代、あの、他人の心が読めた頃のことを。『あれ、そうだったっけ?』と思ってしまうような現実感。
・難なく読める。

『自・我・像』
わかるかぁ、こんなもの。
・あらすじも書けんわ。

『かくも無数の悲鳴』
・酒場に逃げ込んだ俺は、俺自身がプレイヤーでありゲームの駒になっているということを知らされる。新たなゲームが始まったようだ。生き延びなければ、人類に未来はない。
・いわば『メン・イン・ブラック2』の世界観。
・普通の小説ではないけど、難なく読める。

『いま集合的無意識を、』
・東日本地震とツイッターと伊藤計劃(いとうけいかく)という男の話。
・ツイッターについてのエッセイかと思いきや、まさか神林長平御大がそんな温い文章を書くはずもなく。。。
よくわからないけどわかったふりをしておかないと馬鹿にされる雰囲気が世間にある、そんな作品
・伊藤計劃作品を読もうと思った。

・『ぼくの、マシン』『ウィスカー』が読みやすくて良かったです。
・『大してSFも読んでないくせに』と言うなかれ。yogiさんは既にテッド・チャンを読んでいるので、少なくともSFについて語っても怒られないはずなのです。で、本作はそのテッド・チャンっぽかった。


いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)

いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 神林 長平
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/03/09
  • メディア: 文庫



いま集合的無意識を、

いま集合的無意識を、

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/02/15
  • メディア: Kindle版



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『隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動』を読んだ [読書]

・風野真知雄著。文庫書き下ろし。
・南町奉行所同心月浦波之進は眉目秀麗、文武両道、家内円満で非の打ち所のない男。そんな月浦が正月明け奉行所に出勤したところ、新たな任務を任された。それは『味見方』。太平の江戸は空前の美食ブーム。そんな美食の影に悪事有りと見た奉行が新たに設けた役職だ。町を見回り、美味珍味を調べ、悪事を発見せよとの使命。勿論食事代は奉行所持ち。今日も月浦はにゃんこの麻次とともに江戸の美食屋をめぐる。。。

・面白い。ウルトラスーパー超おすすめ。もうあらすじだけでおもしろい。
・鍵となる食べ物がタイトルとなった4編を収録。

『禿げ蕎麦』
・味見方に任ぜられた月浦。何をしていいのかわからないまま町に出ると、金貸しの殺害現場に出くわした。料理屋専門の金貸し、最後に残した言葉は『はげそば』。犯人とはげそばの謎を月浦が追う。

『うなぎのとぐろ焼き』
・うなぎのとぐろ焼きを出すと評判の店を訪ねた月浦。鰻を一匹分焼いてとぐろに巻いて出す料理はボリュームもあり満足して店を後にする。しかし店の料理人がかつてやくざ者だったということを知り気になった。そして数年前の強盗事件も絡み合い。。。
岡っ引きにゃんこの麻次、初登場。いつも飼い猫の毛がついてるから、こんな別称になったのです。

『くじらの姿焼き』
・くじら料理を食べた月浦。そこで浜でイルカを一頭焼いて食べるという、『くじらの姿焼き』という行事を耳にする。調べてみると確かにくじら、イルカをそのまま焼いて食べ振舞っているらしいが、不審な点がいくつもある。調べを進めると違法貿易(抜け荷)の影が。。。

『鍋焼き寿司』
・くじらの姿焼き騒動も収まり、再び町の美味珍味を求める月浦。近頃江戸では上方から来た鍋焼きうどんという料理があるという。そして一部で評判を呼んでいる『鍋焼き寿司』なる料理もあり、夜鳴きの時間に出かけてみるのだが。。。
・まさかの結末!!衝撃!!マジか!!

・どの料理も美味しそう。なんかいいなぁ、江戸時代。
・でも解決手段は現行犯以外は状況証拠の積み重ねと犯人の告白待ちだ。物証が少ない。冤罪も多かったんだろうなぁ。やっぱり江戸時代に生まれなくてよかった。

・文体が江戸っ子調で歯切れよく、読みやすいリズムができている。
・今まで読んだ時代小説の中で一番おもしろいかも。ホントにオススメです。


隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動 (講談社文庫)

隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動 (講談社文庫)

  • 作者: 風野 真知雄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/02/13
  • メディア: 文庫



隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動 (講談社文庫)

隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/02/13
  • メディア: Kindle版



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『花嫁の時間割』を読んだ [読書]

・赤川次郎著。『花嫁』シリーズ第7作。表題作含む2編収録。
・今回初めて自炊した小説をタブレットで読み切った。まぁ、あまり違和感はなかった。

『花嫁の時間割』
・表題作
・女子大生亜由美の友人ゆかりが結婚することになった。しかし話を聞いてびっくり仰天、彼女はプロポーズされた3人と結婚式をするというのだ。それも同じ日に、時間をずらして。『だって三人ともそれなりにいい人なんだもの』とのん気なゆかり。しかし結婚が決まってからゆかりと婚約者周辺で事件・事故が起き、ついに犠牲者が。亜由美は今回も女子大生探偵として事件を探るのだった。。。
正統的な赤川ミステリーだ。利発な女性主人公、普段は抜けてるところもあるが、いざというときはしっかりしている刑事、一癖ある脇役、人格を持っている動物、そして浮世離れしたゲスト。
・本作を楽しめるかどうかは、浮世離れしたゲストを受け入れられるかどうかがポイント。

『透き通った花嫁』
・亜由美が幸枝から相談を受け、彼女を待っていたが、幸枝はなんと講堂から飛び降りようとしていた。必死に説得する亜由美。話を聞くと幸枝の彼氏に女の影があるらしい。彼の部屋に入り、勝手に掃除し、食事を作ってゆく謎の人物。亜由美は今回も女子大生探偵として事件を探るのだった。。。
・『花嫁の時間割』に比べて動機も弱いし設定にもだいぶ無理がある。

・でもまぁ赤川次郎のユーモアミステリーシリーズに『これは矛盾してるじゃないか!!こんなシチュエーションあるわけないじゃないか!!』と言い散らすことほど無粋なことはない。読み、受け入れ、矛盾や疑問は腹に収め、ユーモアにクスリとし、ああやっぱり犯人はこの人ね、と確認する。それが赤川ミステリーの楽しみ方だと思う

・全体に赤川小説は命が軽い。
・平成初期の、まだバブルの香りが残った世間の雰囲気が楽しめる。


花嫁の時間割 (角川文庫)

花嫁の時間割 (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1995/04
  • メディア: 文庫



花嫁の時間割<花嫁シリーズ> (角川文庫)

花嫁の時間割<花嫁シリーズ> (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 1995/04/25
  • メディア: Kindle版



『インデックス』を読んだ [読書]

・誉田哲也著。
・『姫川玲子』シリーズ最新短編集。8編。

『アンダーカヴァー』
・自殺した食器問屋社長事件を担当することとなった池袋署強行犯係の姫川。自殺の背景に詐欺グループの存在を革新した彼女は単身捜査を開始する。『関西弁を話す謎のバッタ屋・白鳥』として。。。
・テレビドラマ『ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレイン』で放送されている。
・もう姫川玲子はyogiさんの脳内では竹内結子で固定されてしまっている。

『女の敵』
・『ストロベリーナイト』事件の時に殉職した大塚刑事(桐谷健太)の墓参りに来た玲子、石倉(宇梶剛士)、今泉(高嶋政宏)。玲子は大塚と初めて担当した事件のことを思い出すのだった。マンションで起きた変死体事件。解決の糸口は大塚のメモからだった。。。

『彼女のいたカフェ』
・かつて、難しい本を読みながらコーヒーを飲み、時々居眠りをしていた彼女。そんな彼女を少しの憧れとともに見守っていた私。あれからもう10年。数度の転勤を経て、私はまた池袋に戻ってきた。。。
『都内でも指折りの大きさの、10フロアある、喫茶スペースのある書店』って、ジュンク堂以外、ないよなぁ。今度行ってみよう。彼女のいたカフェに。

『インデックス』
・表題作。
・池袋で発生した連続殺人事件、通称『ブルーマーダー事件』。玲子は事件によって死亡した可能性のある行方不明者の調査に向かう。相棒は、なぜか井岡(生瀬勝久)。。。
・誉田哲也は、井岡のことが好きなんだろうなぁ。

『お裾分け』
・池袋署勤務を始めて2年弱。玲子はとうとう警視庁本部に戻ることとなった。癖のない上司と癖のある部下を率いて向かう事件は、小金井の大地主惨殺事件。。。
・『小金井の事件』っていうから『ヒトリシズカ』に絡んでくるのかと思ったけど、そうでもなかった。

『落としの玲子』
・姫川玲子は、被疑者を追い詰めるタイプの取り調べをするという。今回の取り調べ対象は、警視庁捜査一課、今泉係長。係長が持っていた一枚の写真を発見した玲子は。。。
・誉田哲也は、井岡のことが好きなんだろうなぁ。


『夢の中』/『闇の色』
・錦糸町で発生した通り魔事件。捜査に派遣された姫川班。被害者の取調べ中に玲子は違和感を覚える。。。
・前後編。『ソウルケイジ』っぽくもある。『よく読めば結末はわかるように描かれているけど、うまくわからないようになっている』感じが。
・菊田(西島秀俊)がちょっとだけ出てくるけど、めんどくさくなってる。

・日下氏と國奥氏が出てこないのがちょっと不満。yogiさん日下氏で一冊書いて欲しいくらい日下ファンなのです。
・それぞれテレビで30分~1時間くらいのドラマにするのにちょうど良い分量。そのうちドラマ化するかもしれない。


インデックス

インデックス

  • 作者: 誉田 哲也
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/11/14
  • メディア: 単行本



インデックス 警部補 姫川玲子

インデックス 警部補 姫川玲子

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/11/20
  • メディア: Kindle版



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『禁猟区』を読んだ [読書]

・乃南アサ著。
・警察内部の賞罰を管理する監察官。警察官の不正と、監察室に勤務する沼尻いくみの活躍を描く短編集(4編)。
・警視庁監察といえば『相棒』の大河内首席監察官(神保悟志)、女性監察官といえば、『相棒 Season9 第16話 『監察対象 杉下右京』』の堀内敬子を思い出す。

『禁猟区』
・表題作。
・ホストにハマってしまった女性警察官。金のかかるホスト遊び。彼の売上を支えるために考えだしたのが、『感謝されつつ』未成年者から金を巻き上げること。。。
・三方一両損っぽく見せかけて女性警察官だけが得をしている。勿論身の破滅というリスクを負って。。。

『免疫力』
・不治の病の息子は、すがる思いで試した健康食品で奇跡的に快復した。同じ境遇の暴力団の組長に、親切心からその健康食品を伝えたのだが。。。
・いいヤクザはフィクションの世界にしかいない。今野敏の『とせい』シリーズのヤクザとか、いい人たちなのにね。

『秋霖』
・時効間近の殺人事件。追いかけるのは署で名を馳せた名刑事。しかしその実態は虚飾に塗れ、マスコミと癒着していたのだった。。。
・もう読んでて気持ち悪いくらい、ゲスい刑事だ。しかも無能。ゲスくても、姫川玲子シリーズのガンテツ刑事(テレビドラマ『ストロベリーナイト』で武田鉄矢が演じてた刑事)みたいに有能だったらまだしも、ねぇ。

『見つめないで』
・引っ越す友人の部屋を引き継いだいくみ。しばらくして玄関に奇妙なプレゼントが置かれるようになり、やがてその中身は過激さといやらしさを増し、イタズラ電話までかかってくるようになった。。。
・警視庁監察が総力を挙げて仲間を守る!!なかなか燃える展開。
・ストーカーは怖いすなぁ。

・監察は対象者に気づかれてはいけないので、監察官沼尻いくみは主人公というより、狂言回し的な役割。最後は彼女が中心なんですけどね。
・乃南アサの短編は警察小説の中でも屈指だと思います。
・勧善懲悪、というか設定した『悪人』がきちんと罰せられているので、モヤモヤした結末が苦手、スッキリ終わらせろよ!!という方にオススメです。


禁猟区 (新潮文庫)

禁猟区 (新潮文庫)

  • 作者: 乃南 アサ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/05/27
  • メディア: 文庫



禁猟区

禁猟区

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/06/01
  • メディア: Kindle版



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『スッキリ!』を読んだ [読書]

・上大岡トメ著。
・日常の面倒や横着、モヤモヤを頑張って克服し、心も体も暮らしも仕事も、諸々『スッキリ!』しようという一冊。
・達成度チェックリストなども付いている。

流し読みで30分。しっかり文字を追っても1時間くらいで読める。あとは実践するだけだ!!
・一回読んだだけでは忘れてしまうポイントもあるので、月に一回『『スッキリ!』をざっと読む日』を設定するのもいいかもしれない。
・yogiさんは本を自炊して自宅の書斎を『スッキリ!』させている途中。。。
・本書の前の『キッパリ!』を読んでいなかった。今度読んでみよう。


スッキリ!―たった5分間で余分なものをそぎ落とす方法 (幻冬舎文庫 か 26-2)

スッキリ!―たった5分間で余分なものをそぎ落とす方法 (幻冬舎文庫 か 26-2)

  • 作者: 上大岡 トメ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2008/08
  • メディア: 文庫



スッキリ! たった5分間で余分なものをそぎ落とす方法

スッキリ! たった5分間で余分なものをそぎ落とす方法

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • メディア: Kindle版



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『さくら』を読んだ [読書]

・西加奈子著。
・大阪に住んでいた家族。愛しあう両親、僕、美しく元気で風変わりな妹、そしていつもかっこ良くなんでもできる、輝く兄。そして飼い犬のサクラ。彼らの20年にわたる幸せな暮らしと絶望と希望を描く。

・yogiさんの姉が、『この本いいよー』と言っておすすめいただいたので、読んでみた、のだ、けれど。
・そうかぁ?

・『ボール!あの軽やかな跳ね!

・家族は不幸と絶望の底に突き落とされる。『これはフィクションだから』『実際にはこんな不幸なご家族はいないんだから』『次のページではなんかうまいこといってるかもしれないから』と自らに言い聞かせないと読み進めるのが難しいほどに。ああ。
・主人公の次男、薫君が思い出す形式なので、どこか淡々としているんだけど、でもやっぱり切ないなぁ。
・最後まで読み終えて、一応の結末を見たので良かったのですが、途中で断念する人、多いんだろうなぁ、これ。yogiさんは絶望的なまま本を閉じるのは忍びなかったし、レビューに『小さな奇跡が』とか書いてあるからそれを信じて読み進めたけど。むぅ。

・ああ。


さくら (小学館文庫)

さくら (小学館文庫)

  • 作者: 西 加奈子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/12/04
  • メディア: 文庫



『電子ブック自炊完全マニュアル』を読んだ [読書]

・戸田覚著。
・タブレットやパソコンなどで読むために、本を裁断機などでバラしてスキャンして電子化する、いわゆる『自炊』のハウツー本。yogiさんも最近始めました。

・yogiさん戸田覚氏はハードウェアライターとして結構好きなのです。『戸田 覚のデジモノ深掘りレポート』は毎週楽しみにしている。
戸田 覚のデジモノ深掘りレポート(日経トレンディネット)
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20140410/1056544/

・『裁断機のカットラインやガイドは信じるな』とか『一冊切ってしまえば後は気が楽』とか、『バックアップは本気で考えよう』とか、自炊あるあるが盛りだくさん。『うんうん』と共感できる。
・さまざまなブロクとか、ドキュメントスキャナのレビューとかを読むよりも、この本を一冊通読する方が、自炊について理解が深まります。

・既に自炊を始めていて、その結果に満足している人は特に読む必要がない。

・2010年発行の本なので、ハードウェア(スキャナ)の紹介部分は陳腐化している。参考程度に読み飛ばすのが吉。それに比べて裁断機は紹介されてる商品が現行品としてまだ販売されていたりする。

・『自炊、始めようかな、でもいろいろ買わなきゃだしなぁ、手間もかかりそうだしなぁ、失敗したら取り返しがつかなそうだしなぁ、どうしようかなぁ』と悩んでいる人はこの本を読むと、実際に何が必要で、どんな手順で作業を進めるのかがわかるので、決断の一助になると思います。


電子ブック自炊完全マニュアル

電子ブック自炊完全マニュアル

  • 作者: 戸田 覚
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2010/12/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)






プラス 断裁機 かんたん替刃交換 PK-513LN 裁断幅A4タテ 26-309

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  • 出版社/メーカー: プラス
  • メディア: オフィス用品



『つきのふね』を読んだ [読書]

・森絵都著。
・1997年。私達はなんとなくノストラダムスの大予言のせいで、未来は来ないんじゃないかとおもっていたし、親友だったリリは未来なんか来なければいいと思っていた。そして心の休まるオアシスの住人、智さんは、全人類を地球の終末から救うための宇宙船の設計に余念がなかった。そんなビミョウなバランスで成立していた世界はいつの間にか崩れ始め。。。
・一部の中学生に蔓延する窃盗、違法薬物、管理売春。本来はすごくドロドロとした描写になり、そうすべきだと思うんだけど、主人公がそのグループから距離を置いている設定のため、非常にあっさりと、淡々と描かれている。こんな犯罪も別のグループのことであれば他人ごとである、といっているようで、逆にリアルな気もする。
・相変わらず絶妙な中二描写。がんばれ全国に多分いるであろう勝田君。文学界で中二描写をさせたら日本一じゃないかと思う。

・今中学生の皆さんに読んでいただきたい一冊。大人が読むと、どこか醒めた目で見てしまうからね。こういう本は。


つきのふね (角川文庫)

つきのふね (角川文庫)

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: 文庫



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『人生に金の雨を降らせる黄金律(レインメーカールール)』を読んだ [読書]

・オカダ・カズチカ著。

新日本プロレスに金の雨を降らせる男、オカダ・カズチカの半生を綴りつつ、人生で成功するためのアドバイスまでもらえてしまう一粒で2度おいしい一冊。さすがレインメーカーです。

マット・デイモン主演作『レインメーカー』とは、ほとんど関係がない。ミッキー・ロークがちょっとだけ出演しているから、レスラーつながり、くらい。そもそもこの映画、格闘技は全く関係ないし、お金も降ってこない、至って地味で真面目な法廷モノ映画だからね。マット・デイモンは新人弁護士だし。クレア・デーンズがかわいいあたりが見どころ

・オカダ・カズチカの試合は実はテレビで一度見ただけだ。昨年のG-1クライマックスでの中邑真輔戦をたまたまBSで放送していて見たことがあって、その時は中邑真輔の『イヤァオ!』に押されて印象が薄かった。
・登龍門のメキシコ修行時代の話が結構出てくるんだけど、『ウルティモ・ドラゴン校長先生』という表現がツボにはまった。なんだか漫画の世界だ。

・テーマに従って数ページ語り、最後に1ページ使って大事なキーワードをどーん、の方式だ。落合博満の『采配』方式ですな。



1ページ使ってどーん。

レスラージョークも散りばめられている。スクワット1,000回で許してくれる永田裕志さんはとってもいい人。


・オカダ・カズチカ氏に興味のある方はどうぞ。yogiさんは知らないことだらけで結構楽しく読めました。今度は中邑真輔氏の本も読んでみたいなぁ。イヤァオ!


人生に金の雨を降らせる黄金律(レインメーカールール)

人生に金の雨を降らせる黄金律(レインメーカールール)

  • 作者: オカダ カズチカ
  • 出版社/メーカー: ベースボールマガジン社
  • 発売日: 2014/09
  • メディア: 単行本



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『塩の街』を読んだ。 [読書]

・有川浩著。

・ある日突然宇宙から飛来した謎の巨大結晶体。その飛来と同時に一部人類の『結晶化』が始まった。『塩害』と名付けられたこの現象により崩壊した現代社会。両親を塩害で失い一人彷徨う高校生真奈が元航空自衛隊パイロットの秋庭と偶然出会い。。。
・『自衛隊三部作』の一つであり、有川氏のデビュー作。

・本作は陸上自衛隊が舞台とされているけれど、そんなに(というかほとんど)陸自は活躍しない。主人公空自の戦闘機乗りだし。『三部作』とされちゃってるから『空の中』→空自、『海の底』→海自、『塩の街』→また空自、ともいかなかったのだろうなぁ。
陸上自衛隊の人、読んだらしょんぼりですよ。

・既視感/既読感があると思ってなんでだろうと考えだ結論が、『なにやら新井素子調』だからだな、これは。結晶型生命体とか。
・というよりも、『ライトノベルの開祖は新井素子』だからなんだろうな。

・秋庭と入江の正確と関係性は『海の底』の夏木と冬原に受け継がれているなぁ、などと比較して楽しむのも三部作を読んだからできるお楽しみ。

・『塩の街』本編のみだと結構あっけなさ、結末の唐突感があるので、お読みになる際は前日・後日譚である『塩の街 その後』も併載されている単行本版/角川文庫版がいいのではないかと思います。でも電撃文庫版だと角川文庫版では出てこなかった米軍の人が出てくるそう。結局両方読むのがベストなんだろうなぁ。

・よし、三部作読み終えたぞ。yogiさんは『空の中』が好きです。


塩の街 (角川文庫)

塩の街 (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/01/23
  • メディア: 文庫



空の中 (角川文庫)

空の中 (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/06/25
  • メディア: 文庫



海の底 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2009/04/25
  • メディア: 文庫



クジラの彼 (角川文庫)

クジラの彼 (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/06/23
  • メディア: 文庫



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『プロ野球 もうひとつの攻防 「選手vsフロント」の現場』を読んだ [読書]

・井箟重慶著。
・元オリックスブルーウェーブ(現オリックスバファローズ)GMである著者が綴る球団フロントの現実。契約更改、FA移籍、ポスティング、トレード、ドラフトなど、選手とフロントとの攻防を綴る。
・GMの回顧録だから、暴露話のようなものはなく、『選手も球団フロントも大変だし、人間同士だから交渉事はおもしろいものだなぁ、はっはっはっ』で済ませられるお話に終始する。阪急ブレーブス→オリックスブルーウェーブ→オリックスバファローズと変遷して、それなりにドロドロした事件もあっただろうに、まぁ教科書的だこと。あれとか、あれとか。
・でも『プロ野球はジャイアンツの意向で動いている』と明言していて、居酒屋の片隅でおいさんが愚痴るのではなく、プロ野球球団のGMでもそう思っているのだなぁ、真実だったのか、と感慨深かった。
・さらっとすぐに読める一冊です。

プロ野球 もうひとつの攻防 「選手vsフロント」の現場 (角川SSC新書)

プロ野球 もうひとつの攻防 「選手vsフロント」の現場 (角川SSC新書)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川マガジンズ
  • 発売日: 2013/05/02
  • メディア: Kindle版



プロ野球 もうひとつの攻防  「選手vsフロント」の現場  角川SSC新書

プロ野球 もうひとつの攻防 「選手vsフロント」の現場 角川SSC新書

  • 作者: 井箟重慶
  • 出版社/メーカー: 角川マガジンズ
  • 発売日: 2013/03/09
  • メディア: 新書



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