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『あなたの人生の物語』を読んだ [読書]

・テッド・チャン著。訳者は各編に寄って異なります。
・『あなたの人生の物語』が映画化されるという記事を読んで、それがファースト・コンタクト系SFらしいので、ちょっと読んでみたらだいぶハードSFだった。『戦闘妖精・雪風』くらいハードだ。
・どの作品も考えさせられ、難しく、静謐だ。
『チャンを読まずしてSFを語るなかれ』と言われるほどの作品群だ。yogiさんは今回読んだので、SFを語ってもいいことになる。今後SF小説を偉そうに語っていても、『yogiさんはチャンを読んでるからなぁ』と思って許してください。

・『"知る"とは』ということが底流にある作品群だった。

『バビロンの塔』
・ヒューゴー賞受賞作
・天まで届けと建設される巨大なバビロンの塔。空を越え、星を見下ろし、やがて天頂に到達した。天の向こうにあった世界は。。。
・まるでお伽話のような、簡単な言葉に直して挿絵をつければ子供向けの童話にもなりそうな作品なんだけど、しっかりSFしてて面白い。

『理解』
・脳の損傷を回復させるために使用した薬品によって、飛躍的に頭が良くなってゆく男。彼はすべてを知り、理解し、作り出し、見通すことができた。しかしその能力を持っているのは彼だけではなかった。。。
・『アルジャーノンに花束を』的な話かと思いきや、『カイジ』のようなサイキック読み合いバトルものだったでござる。

『ゼロで割る』
ある数をゼロで割っても、その答えは無限大という数にはならない。その理由は、わり算が掛け算の逆と定義されているからである---もしある数をゼロで割り、つぎにその数にゼロを掛ければ、もとの数がふたたび得られるはずだ。しかし、無限大にゼロを賭けても答えはやはりゼロであって、ほかの数にはならない。ゼロを掛けて、ゼロ以外の答えを出せるような数はない。したがって、ゼロで割った結果は文字どおり、"不定"なのである。

・本来除算することのできない『ゼロで割る』問題。しかしもしもゼロで割ることが証明できたら。。。
・近現代数学の歴史が章頭に、ドラマがその後に続く。
・『難しいことを読んで理解した気になるんだけど、難しいから結局糧にならない』タイプのお話だ。

『あなたの人生の物語』
・ネビュラ賞受賞作
・地球外生命体がやってきた。言語学者ルイーズはヘプタポッドと名付けられたそれらとコンタクトを取るために彼らの言語を学び、地球の言語を伝えようとするのだが、やがて彼らの言語を理解していくにしたがってルイーズはある能力を獲得してしまう。。。
・これを映画化するのか?できるのだろうか。すごく抒情的な映画になりそう。そうじゃなかったら、ホントにつまんなくなりそう。

『七十二文字』
・魔法の世界。人口減少に悩む人類は魔法によって卵子から単性生殖を試みようとしていたが、実はこれは人類の選別のはじまりだった。。。
・魔法で世界が動いているのが前提としてあることを気にしつつ読まないといけない。

『人類科学の進化』
・ストーリー失念。数ページだったので。

『地獄とは神の不在なり』
・ヒューゴー賞、ローカス賞、ネビュラ賞受賞作
・天使や天国、地獄が顕在化し、目に見える世界。妻セイラを失った男ニールはさまよい、天使に出会った。
・一生離れたくない、でも死んだら天国に行くか地獄に行くかわからない。じゃあ自殺して二人とも地獄に堕ちよう』という発想はなるほど、と思った。『地獄はただ神が不在なだけ』なのだから。

『顔の美醜について』
・頭につけると他人の美醜がわからなくなる『カリー』という装置。これを全学に展開しようとする大学側、反対するもの、賛成するもの、利用しようとする企業、そして学生投票が行われた。。。
・複数人へのインタビューの書き起こし形式だ。『ワールド・ウォーZ』っぽい。

yogiさんは『バビロンの塔』、『あなたの人生の物語』、『地獄とは神の不在なり』、『顔の美醜について』が良かったですよ。
読んでからこのテクストを書くのにちょっと時間が経っているので、感想がテキトーだ。でも確かに良かったのだ。

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: テッド・チャン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/09/30
  • メディア: 文庫



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